3Dデータを作る方法は様々ありますが、その中の一つに複数のデジタル写真から3Dオブジェクトを作る「フォトグラメトリ」という手法があります。
様々な角度から撮影した画像をソフトウェア上で合成し3Dモデルを形成するというものなのですが、デジタルカメラの画像がそのままテクスチャに反映されるメリットは大きく、実在するオブジェクトを再現性高く3Dデータ化することが可能です。3Dモデルのクオリティはデジタル画像の品質によるところが大きく、より高解像度の、ディテールまでしっかりととらえた写真を使う事で、出来上がる3Dモデルのクオリティも向上することになります。
ただし、しっかりとした3Dモデルを作るためにはそれに適した写真を撮る必要があり、これにはコツが必要です。最初の頃私は何度も失敗をし、撮影し直しすることが非常に多くありました。ひょっとしたら大体の人は、コツをつかむまでに何度かの失敗を体験するかもしれません。
またこの手法は測量のような場面でもよく使われており、ドローンで撮影した連続写真を使って、広範囲な3Dマップを作る際にも使われています。
<特徴>
- デジタルカメラクオリティのテクスチャを生成することが可能。
- デジタルカメラ一つで作業ができる。
- 写真の撮り方には工夫が必要。もしくはカメラを固定するリグなどシステムを組む必要がある。
- 反射するものや透過するものなどはうまく撮れないことが多い。他の3Dスキャナと同様に、万能ではない。
いくつか代表的なフォトグラメトリソフトを紹介していきます。
Agisoft 「PhotoScan」
3Dオブジェクトを生成するソフトとして、スタンダードになっているのがこちら。
特徴は、クラウドではなくスタンドアロン型で、処理速度はPCスペックに依存します。
特別なターゲットなどは必要なく、ほとんど自動的に3Dモデルを生成してくれます。
スタンダード版とプロ版がありますが、スタンダード版は数万円とお手軽なのも人気のポイントです。
Autodesk 「Remake」
2016年5月に、「Memento」の製品版としてリリースされた高精細メッシュ生成ソフト。
クラウドベースのサービスなので、ハイスペックなPCは必要ありません(DirectXが動作する環境は必要)。
3Dプリント用データはもちろん、VRやゲームなどで使われるFBXにも対応しています。またAutodesk社の提供するソフトウェアへの移行も簡単にできるようになっています。
サブスクリプションベースでの課金方法が選べるのも特徴ですが、現在は北米地域のみのサービスとなっています。
CDSL Limited 「3DSOM」
フォトグラメトリシステムは人物や地形を3D化するときに使われることも多いのですが、3DSOMはオブジェクトを3D化する際に多く使われており、ECなどでの活用事例が多く公開されています。オブジェクト撮影用専用ハードウェアとの連携が特徴で、これによりオブジェクトの撮影をより簡単にしています。
現状では写真内にマーカーを配置することが必要となっていますが、近日中にマーカーレスに対応したバージョンアップが予定されています。
他にも、こういったソフトもあります。
Bentley 「ContextCapture」
地形からオブジェクトまで幅広く対応しているソフトウェアで、その特徴は独自のアルゴリズムにより角や変化点を自動検出するその精度が挙げられます。
Eos Systems Inc, 「PHOTOMODELER」
Pix4D 「mapper」
VRコンテンツやスマートフォン向けコンテンツ、ウェブでの閲覧を前提に作られる3Dモデルは、表示速度や快適さを考えるとある程度ポリゴン数を制限する必要があり、テクスチャがリアリティを支える大きな役割を担っています。そういった用途には、再現性の高いフォトグラメトリはかなり向いている手法なのではないかと思います。
紹介した以外にもフォトグラメトリのソフトは多数あり、紹介しきれていないのですが、もし他にも紹介してほしいソフトがあればぜひご連絡ください。